天然石から彫り上げられた宮城県の伝統工芸品 大きな雄勝硯を販売中です
硯の国内生産高で80~90%を占めるという、宮城県石巻市の伝統工芸品、雄勝硯のそれはそれは巨大で重い一枚が店頭に並んでおります。
材料、原石である雄勝石は、黒色硬質粘板岩で粒子の均質さ、光沢の美しさ、そして機能面での鋒鋩(ほうぼう)のバランスの良さなどから、硯の原石として最も優れた特徴を持っているとされ、同市雄勝地区内の山から露天掘りで採石され、工人によって昔ながらの手作りで彫り上げられて硯として世に送り出されているとのこと。
記録によればその硯の歴史は大層に古く、室町時代の応永三(1396)年の文献史料中に言及がある(採掘山である「硯浜」の名が出て来る)そうで、江戸時代初期には藩主の伊達政宗から賞賛を賜り、二代目忠宗にいたっては硯師を伊達藩に召し抱え、硯の原料が採れる山を「お止め山(お留山)」と称し、いわば藩の独占としたくらいですから、その評価と人気・需要の高さが窺い知れます。
今回掲げた硯は縦横30×20センチ余りで重さは5キロを超えるのでは?という正しく重厚長大な一品。なお国産の硯にしては、相対的(あくまでw)に海(墨池)が小さく、また硯面の全体像として模した花瓶の口部分に第二の池?もあって、実用というよりは装飾向きの特殊硯と看做すべきかもしれません。また、花瓶の図柄の周囲には、粉雪が舞い散っているような白い斑点が出ていますが、これは天然の模様を生かしたものであるとすれば、無銘ながらこの工人の美意識の一端が存分に発露されているといえましょう。
600年以上もの長き伝統を誇る雄勝硯の生産は、あの忌まわしい東日本大震災による壊滅的な状態(工場被災、工人離散)から立ち直り復興を遂げつつあると聞き及びます。また、雄勝石は屋根材(天然スレート)としての用途に加え、高級食器に加工した「雄勝石皿」での新たな展開も進んでいるそうです。
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