彩色木版の江戸和本 本間百里著『服色図解』をヤフオク!に出品中です
江戸時代後期の武士で有職家の本間百里が著わした『服飾図解』という古書をただいまヤフオクに出品いたしております。
本間百里(1784~1854)は、今日の岩手県は陸奥一関藩の藩士で、京に赴き公家の家に出入りして斯学の造詣を深め、その間に種々の免許を授かった、当時の有職故実の大家。公家・武家の装束を取り扱う高倉流の衣紋(えもん)方であり、江戸で活躍し、関東以北の諸大名は挙って氏の教えを請うたといわれます。
今回出品の『服飾図解』は氏の代表的な著作のひとつとされ、紙数はそう多くはない中で簡潔に当世の礼式服飾についてが取り纏められておるようです。
彩色版画で印象深いものとして、かつて当ブログで扱いました幸埜 [幸野] 楳嶺画の『千種之花』 全4巻揃い (明治22~24年刊行) を思い出します。あちらは明治の出版でしたが、本書の版画も色残りが良好で、夥しい虫食いが無ければ、紙質の良さも手伝い、とても二百年以上前の摺りとは信じ難いほどです。しかも、図のすべてにというわけではありませんが、空摺りの技法(凸凹をつける、一種のエンボス加工ですね現代風に言えば)が施されており、図柄に立体感と煌びやかさが際立っているものもあり、とても興味深く出品作業を進ませて頂いた次第です。
斯界では夙に知られた著名な本のようですが、出版社の明記が無く、師の属した一関藩で刷られた私製本になるのでしょうか?また表装、表紙が綺麗過ぎるのには些か引っ掛かりを覚えます。果たして本当に文化十三年=1816年に発行された実物、本物であるのか、内心戦々恐々、訝しみを抑えつつ恐る恐るの出品であります。
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