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十一世雨宮静軒作 九皐硯 を買い取りさせていただきました

十一世雨宮静軒作九皐硯

甲斐雨端硯匠 十一世 雨宮静軒 作 「九皐硯」を買い取りさせていただきました。
鳴き声を高らかに発せんばかりの鶴が大胆に造形された半楕円形の硯です。共箱には蓋の表面に硯名;内側に作者銘・印が残されており、真正品と思われます。
和硯としてその芸術性の高さ故、本場中国の端渓硯と比較されることも少なくない、もはやいち書道道具を超えた美術工芸品として扱われる甲斐雨端硯の逸品です。
作者の静軒は、東京美術学校付属工芸講習所を修了した後、日本画家の大家である竹内栖鳳に師事しており、この九皐硯に代表される絵画的な作風で知られるとともに評価が高いようです。
素材には山梨県産の雨畑石という良石が用いられており、これも中国硯に見劣らぬとされる所以です。
なお硯名(きゅうこうすずり)が、中国古典 『詩経』の一節「鶴鳴于九皐 声聞于天」に由来するとすれば意味深でありましょう。
鶴は深い谷のような幽境で鳴いていても、その鳴き声は天に届く。つまり賢人は身を窶していても、その名声は広く世間に知れ渡るという含意。描き刻まれた鶴の姿に、硯を用い何らかの文言を認める者たちは、おのが自尊心や名声欲を仮託したのでしょうか。
洗硯も鋒鋩立てもしておりませんし、また共箱外周には汚れが目立ちますが、本体および木の蓋(樫か桜材でしょうか、硯に劣らず良い出来)の方は幸いにも大きな瑕疵を免れております、ヤフオク!への出品をお待ちくださいませ。

 

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