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唐硯二面の買い取りが中野区にてございました

唐硯 長方硯 二面
採掘や製作が清代以前に遡ります様な由緒ある稀少、高価な年代物ではないでしょうけれど、一見してごくシンプルな普通の長方硯ながら、文人趣味に沿う、それらしい「風景」と申して良さそうなものが見てとれます二石を先般買い取りさせていただいております。

1枚目(左手)は、端硯(広義の端渓硯)に属する、馬肝色端石硯に相当すると思われます。 彫琢と石紋から、陰翳雲隙湖月硯とでも命名しましょうか。墨池には鄙びた家屋一軒があり、これが隣する墨堂の湖面(水面)には、上空の雲間から照ります丸い月(翡翠斑)が映っていると解しました。なお墨堂はほぼ中央で左右に濃淡(明暗)が出ており、墨池上右手の雲によって光が遮られ右手側が翳っているかのような様まで描写されているよう。なお硯背には2つ、陸にあるのと同じような翡翠斑/点(ひとつはクッキリとした瞳が入っていて石眼というべきか)が浮き出ています。
唐硯 長方硯 二面 (a)

もう一方(右手)は、天然石素材である端石とは異なる人工(焼成)の澄泥硯の鱔魚黄となりましょうか。墨堂がほぼ全面黄色で、硯中央にはこれまた月に擬せられるような丸い斑紋があり、朧月夜を連想させます。ただよく見ると、墨池(上空)右端にも薄く半月状の黄色が浮いているのをどう扱いましょうか、彫琢が無くて余りに簡素な成りであることも手伝い、上掲の一枚よりも名付けが困難に感ぜられておるところです。
唐硯 長方硯 二面 (b)

二石とも特に文言は彫られておらず、また硯箱は立派ながらなんの銘も書き付けも無く、正確な石名や坑名、伝来などは一切不詳。ともあれ弊社ヤフオク!の新春出品となろうかと思います、何か感ずるところがおありでしたら、この年末年始にどうぞオークションをチェックなさってみてください。

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