慈光では、ウィチョール族のネアリカ(毛糸絵)、ビーズ細工のお面を販売しております。
ウィチョール族は、メキシコ中西部の先住民族です。スペイン征服以前からの伝統を色濃く残している珍しい部族で知られています。ウィチョール族の作った毛糸絵は「ネアリカ」と呼ばれており、独特な風習から作られました。
ネアリカはウィチョール族のシャーマンが世界を知るために用いる呪物であり、天の世界を見るための窓を象徴したものと言われる。つまり、現世と別世界の通路や扉であり、両世界を隔てる柵を象徴するとされています。伝統儀式で「ペヨーテ」というサボテンを使用します。食すと強烈な幻覚作用をもたらすサボテンです。ペヨーテは、「神の肉」とよばれ神聖なものとされ、400キロの砂漠の砂漠を歩いて新鮮なペヨーテを探し出す旅に出ます。帰る道中に何日もかけてひたすらにペヨーテだけを食べ続け、歩き続ける力を与えると言われております。サボテンによって見える幻覚や、トリップした際に彼らが見たものをネアリカで表現し具現化し、それをさらにシャーマンによる儀式で用います。ビーズ細工もその一環としてつくられました。
1960年代、ウィチョール族ののシャーマンが描くサイケデリックな民芸品が芸術性が認知され、アート作品として扱われるようになり作品として昇華していきました。多くの作品は博物館に集められ、資本の手が入ることで問題も生じ、売上金がウィチョール族に届いていないのではないかと言う指摘もされております。以前は村には大変な道のりであったとのことです。しかし、時代の流れでしょうか、ここ20、30年でウィチョール族にも文明の手が入り、インフラも整備され、外の世界への行き来が容易になりました。現金が必要な生活になりました。偽のウィチョールを名乗る者、商業的な品物が多くなり、本質のあるものは、枯渇してる状況であるとのこと。
こちらのネアリカを譲って頂いた方に経緯を聞きましたところ、今から50から60年前に、先代がメキシコに滞在中に手に入れたとのことですが大変だったそうです。非常にいい時代の物であります。画像ではわかりづらいですが、実際に見ると一目瞭然、手の込んだ物だとわかります。一寸の隙間がなく、細い毛糸で細工されており、彩色の多さ、デザインとともに、素晴らしい出来となっております。ビーズの細工は、木彫りのお面に、数え切れないほどの極小さなビーズがぎっしりと計算尽くされたように並んでいます。少しでも狂えば隙間ができてしまうのですが、きっちり収まっていることには、驚きます。
大事に譲り受け、保管状態も良かったせいか、多少の経年劣化はありますが、状態が良く、色褪せ、色焼けはございません。
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