高橋丈雲作 布袋の木彫像を店内にて販売中です
大正から昭和の初期に活躍された著名な彫刻家、仏師の高橋丈雲が制作した木彫像の布袋さまを店内にて販売いたしております。
福々しい体形で大きな布袋(頭陀袋または堪忍袋)を背負って、屈託のない笑顔で愛嬌を振り撒いており、思わず見ているこちらまで釣られて口角が緩んで参ります。
なお恵比寿像だとの見立てもあるのですが、釣り竿も鯛も持っておらず、見た目で素直に判断する限りでは、布袋となろうかと。
布袋は10世紀・唐代初めの中国に実在した仏僧(必ずしも禅僧だとは言い切れないらしい)で、その大袋には放浪するなかで施された一切合切のものが放り込まれ、そのゆったりとした風貌と素直な性格から、人々の心情に暖かみや満足感を与えていたといいます。
布袋は中世中国では諸伝説から弥勒菩薩、弥勒仏の化身と看做されて信仰の対象とされました。一方日本では、はじめ鎌倉時代に禅画の題材として受容された後、江戸時代に入るまでには七福神に組み入れられていったようです。太った体躯が度量の大きさや人格の円満さを、それに富貴繁栄を司るものと解されたといわれます。
この本体30センチ弱の一本削り出しの像は、一見したところ面取りの像にも及ばぬかというくらい少ない彫・刀数のみで、とてもあっさりと彫り上げられていて実に簡素に映ると思います。しかしながら間近で観察してみますと木目が極めて巧みに生かされているのが浮き彫りになって、彫師の高い技量と優れた計算が滲み出ています。成田山新勝寺明王を制作したことで知られます弟子の神保豊の方が却って有名なようで、丈雲氏ご本人の経歴をネット上でなかなか追えないのが残念であります。
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