ヴィクトル・ヴァザルリのシルクスクリーン作品『ザ・テニス・プレイヤー』(1987) をヤフーショッピングに出品しました
弊社慈光としましては取り扱いが比較的稀な、現代の抽象画となります。ハンガリー生まれで、1930年代以降に移住先のたフランスにおいて、独自に幾何学的抽象性を追求した美術芸術作品を制作し続けた ヴィクトル・ヴァザルリ Victor Vasarely (1906~1997) の晩年のシルクスクリーン作品、『ザ・テニス・プレイヤー The Tennis Player』 (1987)をヤフーショッピングに出品いたしております。
ヴァザルリは、医者を目指したものの挫折、美術及びグラフィックデザインの道を歩み、ドイツのバウハウス運動の機能主義・合理主義とソ連のコンストラクティヴィスム(構成主義)を消化した芸術家で、所謂 「オプ・アート op art (錯視による視覚効果を計算に入れて制作された抽象絵画で、有り体に言えばだまし絵の一種)」 の先駆者(1938年頃の作品 「シマウマ」 が最初期例)として評価されポピュラリティを得た、現代美術の重要人物のひとり。
色数と形態を最小限に抑え、具象性を排した幾何学的抽象性を作品の特徴とし、上記のように錯視を利用した美術・立体的作品を数多く世に送り出している彼ですが、1960年頃から多彩色の華麗な画面構成を用い始めたというその流れを本作は汲んでいるもの(配色違いも存在するよう)とみられます。
素人が一瞥する限りでは、歪みのある格子状の土台に極限まで抽象化・捨象されたテニス選手の像が投影されているに過ぎず、一方では具象性が濃いようにも思われ、もはやオプ・アートに狭く限定されずその包括上位範疇であるポップ・アート作品と呼ぶべきではないかという風に映ります。死去する10年ほど前の制作(あるいは初出は1977年とも)であると考えますと、転向したとまでは申しませんがお歳を召され流石に丸くなったのかなと想像を逞しくします。とはいえ大胆さと自信と確信に満ちた主張の明快さ・強靭さは感じ取られるところであり、やはり巨匠、大物の作品だなという風格を帯びています。
1981年に西武美術館で彼の大回顧展が催されていましたので、もしや80年代バブル期にヴァザルリ・ブームが本邦で起こっていてそれに伴う需要に応じた増刷だったのかもしれません。おそらく当時の販売価格は数十万でしょうから今回は相当なナイス・プライスでのご提供となっていると思います。趣味の合う方へはもちろんですが、様々な分野において注目されるAIやVRによる制作アートとの相関性を孕むことを踏まえまして、この先の再評価、人気上昇もありや!?と先読みされる向きへもお奨め申し上げましょう。
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